『大乗起信論』随染本覚

また次に、随染本覚(本覚が無明に汚染されている状態)を分類すると、二種類の状態がある。しかも、それは本覚と異なるものではない。どのような二種か。1.智浄相 2.不思議業相である。

 

1.智浄相とは、法力薫習(香りが服などにうつるように、本覚の影響力がうつること)に依って、理にかなった修行を行い、修行が完成すると、和合識(アーラヤ識)の相を破壊し、(妄念が)相続する心の相を滅し、法身(本覚)を顕わして、智慧が淳浄であるから智浄相という。

 

その理由はなぜか。あらゆるの心識のすがたは皆無明であり、無明は覚りと別のものではないから、壊すものでもなく、壊さないものでもない。

 

大海の水が風によって波立つとき、水と風は離れていないが、しかも水は本来動いているものでもないので、風が止めば波はおさまる。しかも、水の性質(湿性)が無くなるわけでもない。

 

このように、衆生の自性清浄心も無明という風によって動くと、心と無明はどちらも形が無く、離れていない。しかも心が本来動いている訳でも無いので、無明が滅ぼされれば、(妄念の)相続は滅されて、しかも智慧の性質は破壊されない。