『八宗綱要』三論宗・教理

今回の『八宗綱要』は三論宗の教理についてです。 
眼目は冒頭の八不ですが、これは龍樹『中論』の最初に出てくる文です。 
縁起であり、つまり空である現実の有り様を要約したもの、と言えるでしょう。 


6  教理論 
6-1 八不 

問い。それでは八不とは何か。 
答え。生ぜず、滅せず、断ならず、常ならず、一ならず、異ならず、去らず、来らず、である。 
八つの迷いを離れるために、この八不を説く。 
これが即ち三論宗の顕らかにする理である。 


6-2 四種釈義 

三論宗では一切の法を解釈するために四種の釈義がある。 
1.依名釈義、2.因縁釈義、3.見道釈義、4.無方釈義。 
一切の法門はこれによって解釈される。 


6-3 四重の二諦 

また、四重の二諦を立てる。 
1.有を俗諦とし、空を真諦とする。 
2.有空を俗諦とし、非空非有を真諦とする。 
3.空有と非空非有を俗諦とし、非非有非非空を真諦とする。 
4.前の三重を俗諦とし、非非不有、非非不空を真とする。 
これは外道(バラモン教等)・説一切有部・有所得大乗(地論宗・摂論宗)を破するためである。 


7 三論宗の教判 

問い。三論宗では幾種の教を設定して諸教を分類するのか。 
答え。二蔵と三転法輪を立てて、釈尊一代の教えを分類している。 

二蔵とは 
1.声聞蔵。これは小乗教である。 
2.菩薩蔵。これは大乗教である。 
大小の二教によって分類される。これは『大智度論』の説である。 

三転法輪とは 
1.根本法輪。『華厳経』である。 
2.枝末法輪。『阿含経』以後『法華経』までである。 
3.摂末帰本法輪。『法華経』である。 
釈尊一代の教えはすべておさめ尽くされる。これは『法華経』の説である。 

大小の二乗は顕らかにする理は同一であるが、受け取る人の機根が異なるために違いがある。
諸大乗教は顕らかにする道は異ならないが、縁によっているから別の教えになる。 

諸大乗経を判断するにそれぞれ優劣で三段階に分ける。 
一切の教えを判断するに偏った解釈は無い。