八宗綱要


はっしゅうこうよう 〔ハツシユウカウエウ〕 【八宗綱要】 [ 日本大百科全書(小学館) ]

仏教の概論書。2巻。日本華厳(けごん)宗の学僧、東大寺の凝然(ぎょうねん)(1240―1321)の29歳のときの著。インド、中国、日本の三国にわたる、大小乗、密教に及ぶ全仏教を網羅する概説書として、今日でも一般に広く読まれている。八宗とは、倶舎(くしゃ)宗、成実(じょうじつ)宗、律(りつ)宗、法相(ほっそう)宗、三論(さんろん)宗、華厳(けごん)宗、天台宗、真言(しんごん)宗で、それら八宗の宗名、成立、教説を概説する。うち、倶舎、成実、律、法相、三論、華厳は南都六宗である。これに、平安仏教の、最澄(さいちょう)の天台宗と、空海の真言宗の二宗を加えている。歴史的には倶舎は法相の、成実は三論の付宗とされ、基礎学として併修され独立した宗ではなかった。最後に禅宗、浄土宗についての簡単な付記があるが、当時盛行した浄土宗や禅宗が凝然の意識に大きくなかったことは注目すべきである。

 

[ 執筆者:池田魯參 ]

 

 

八宗綱要目次

 

八宗綱要抄

凝然大徳述

 

第一編 総論

 

第一章 教理の綱要

 第一節 八万四千の法門

 第二節 教法の分類

第二章 歴史

 第一節 概説

 第二節 印度

  第一項 小乗二十部の分派

  第二項 大乗の興起、馬鳴と龍樹

  第三項 無著と世親

  第四項 大乗教の分派

 第三節 中国

  第一項 佛教の伝来と経論の翻訳

  第二項 諸宗の成立

 第四節 日本

  第一項 佛教の伝来と聖徳太子 

  第二項 八宗の伝来

  第三項 八宗の伝播

第三章 八宗概説 

 

第二編 各論

 

第一章 倶舎宗

 第一節 倶舎宗の名称

 第二節 倶舎論の製作

  第一項 婆裟論の編集

  第二項 倶舎論の成立と順正理論

 第三節 倶舎論の翻訳と伝播 

 第四節 本論の所属

 第五節 倶舎論の宗旨・三世実有

 第六節 本論の組織

 第七節 五位七十五法

 第八節 三乗の因果

 第九節 我空法有

 

第二章 成実宗

 第一節 成実宗の名称

 第二節 成実論の製作と翻訳

 第三節 成実宗と大乗・小乗の関係

 第四節 成実論の宗

 第五節 修行の階位

 第六節 八十四法

 第七節 成実宗の特色

 

第三章 律宗

 第一節 宗名と諸律の成立、異世の五師・同世の五師

 第二節 翻訳と弘伝

  第一項 四種の広律

  第二項 律の注釈、五種

  第三項 四分律の弘伝

 第三節 四分律の起源と伝来

 第四節 律宗の相承

 第五節 律宗の分流

  第一項 律の三宗

  第二項 三要疏と六家の章疏

  第三項 道宣の著作

 第六節 止持と作持

 第七節 止持戒

  第一項 比丘の具足戒

  第二項 罪の分類、五篇と六聚・七聚

  第三項 比丘尼の具足戒

 第八節 作持戒

  第一項 二十犍度

  第二項 止持と作持の互通

 第九節 七衆の建立

  第一項 戒の広略

  第二項 七衆と戒

  第三項 五・八・十・具

 第十節 律宗の教判

  第一項 化制の二教判

  第二項 持戒の果報

  第三項 四分は義当大乗

  第四項 戒の四科と戒体

  第五項 三教判と律宗の行果

 第十一節 三聚浄戒

  第一項 円融の三学

  第二項 三聚浄戒の互摂

  第三項 律儀戒の三戒

  第四項 通受と別受

 

第四章 法相宗

 第一節 宗名と所依の経論

  第一項 宗名

  第二項 所依の経論

 第二節 法相宗の歴史

  第一項 インドの相承

  第二項 中国の相承

  第三項 日本の相承

 第三節 法相宗の教判

  第一項 三時教判

  第二項 三時教と三性

 第四節 三乗と五性

  第一項 五性各別

  第二項 三乗と五乗

  第三項 法相宗から見た一乗

  第四項 三乗の得果と菩薩の四十一位

  第五項 煩悩障と所知障の断尽

  第六項 三祇と四依

 第五節 五位百法

  第一項 五位と八識

  第二項 六位の心所

  第三項 色法

  第四項 心不相応行法

  第五項 無為法

  第六項 三科と百法

 第六節 唯識観

  第一項 唯識の妙旨

  第二項 五重唯識

 第七節 四分義

 第八節 三性と三無性

  第一項 三性

  第二項 三無性

 第九節 菩提と涅槃

  第一項 転識得智と四種涅槃

  第二項 五法と三身

 第十節 総結

 

第五章 三論宗

 第一節 宗名と所依の論

  第一項 宗名

  第二項 所依の論

 第二節 破邪顕正

  第一項 破邪

  第二項 顕正

 第三節 真俗二諦

 第四節 仏果と行位

 第五節 八不と四種釈義・四重二諦

 第六節 本宗の教判、二蔵と三転法輪

 第七節 三論宗の歴史

 第一項 インドの相承

 第二項 中国への伝訳と弘通

 第三項 日本への伝来と弘通

 

第六章 天台宗

 第一節 宗名と所依の経論

  第一項 宗名

  第二項 所依の経論

 第二節 天台宗の歴史

  第一項 開祖と伝承

  第二項 中国における天台宗の相承

  第三項 日本への伝来と相承

 第三節 教観二門

 第四節 天台宗の教判

  第一項 五時八教総説

  第二項 化法の四教

   イ 総説

   ロ 三蔵教

   ハ 通教

   ニ 別教

   ホ 円教

   ヘ 四教の佛身と佛土

  第三項 化儀の四教

  第四項 五時の教判

 第五節 観門と行法

 

第七章 華厳宗

 第一節 宗名と所依の経

  第一項 宗名

  第二項 所依の経

 第二節 三国の相承

  第一項 インド・中国の相承

  第二項 日本の流伝

 第三節 華厳宗の教判

  第一項 五教と十宗

  第二項 小乗教

  第三項 大乗始教

  第四項 大乗終教

  第五項 頓教

  第六項 円教

  第七項 五教のまとめ

  第八項 十宗の教判

  第九項 五教の行位

 第四節 四法界

 第五節 佛身と佛土

 第六節 華厳宗の総結

 

第八章 真言宗

 第一節 宗名と所依の経

 第二節 真言宗の歴史

  第一項 インド・中国の相承

  第二項 日本の相承・弘伝

 第三節 真言宗の教判

 第四節 依正の二報

 第五節 六大・四曼・三密

 第六節 四種の法身

 第七節 密教と顕教の教主

 第八節 結語

 

第三編 附説 禅宗、並びに浄土宗

序説

 第一節 禅宗

 第二節 浄土宗

総結

跋文

 

目次の区分けは以下の書籍に拠っています。

平川彰『佛典講座39 八宗綱要』大蔵出版